2015-04-21

観に行くまで、菊地成孔×町山智浩論争を知らなかったのだが（知らなくて良かった）

その道の大家であり、“語り”の名手でもあるおふたりがギャアギャア喧嘩する価値は充分ある映画。

映画開始早々、練習合間の演奏者たちの描写に早くもしびれ

（トロンボーンのスライドを確認するとか、トランペットの楽器に入った唾を出すとか）

デブのトロンボーン奏者が粛正される場面で【フルメタル・ジャケット】を一層想起したり、

親戚同士のディナーで「将来何の役にも立たないアメフト」に血道をあげ、

しかも「Cクラス」でいい成績をおさめたと自慢する馬鹿ジョックと堂々と渡り合う主人公に溜飲を下げたり、

でも安らぎを求めて声をかけた可愛い彼女を酷い理由で振ったり、

指揮者の教え子が「交通事故で死んだ」と聞いても「嘘だよ、自殺だろ？あんたが原因で」と思ったり、

気のいい同級生のドラマーとも決して友達にはならなかったり、

人間の醜さばかり見せつけられて、でもそれが物凄くリアリティがあって、ああ、いいキャラクター、いい展開だなあと終始映画的悦楽を感じっ放し。

で、ラストにドラマーとコンダクターは微笑み合うじゃん？

あれ、ドラマーが「俺の勝ちだ！」、コンダクターが「負けたよ！」の勝負の果ての微笑じゃ無く、

お互いの心が通じ合った刹那の表情だと思ったけどなあ。

「俺たち、ここまで来たな！」「来たんだな！！」「来たんだよ！！！」

で、ブラックアウトで映画終了。

劇場で「オォオオオオ！」と叫んで拍手したい衝動に駆られたよ。

（出来なかったけどナ）

で、“冷酷な指導者”つながりで、『響け！ユーフォニアム』を楽しみに視ています。

こいつ、眼が死んでんな………。

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