水木しげる翁先生...
先週の11月30日の月曜日、お昼の時間になり、ここのところ毎週(月曜限定)で定食を出している近所のスナックに赴き、
料理が出来上がるのを待っている間、iPhoneでTwitterを眺めていると、
《水木しげる先生 亡くなる》の文字が眼に飛び込んで来た。
瞬間、頭が真っ白になり、ニュース記事などを検索し、それが誤報では無い事を確認、
兄や友人にその報を告げた。
定食はおいしくいただいた。ガーッと。
帰宅してから、水木しげる先生の画集【東西妖怪図絵】を引っ張り出し、それをじっくり眺めた。
それから一週間、普通に仕事して、普通に食事して、普通に呑んだりはしていたものの、
水木しげる先生の事が完全に頭から離れる事は無かった。
物心ついた時から既にその漫画はあったという感覚は、手塚治虫や石森章太郎と同じで、
いや、もしかしたら最初に触れたのは、テレビの『悪魔くん』か『河童の三平』だったかもしれない。
『河童の三平』は子供が視るには怖い恐い内容で、オープニングの歌ユーラリユーラリ、ユーラララというコーラス、
妖怪の笑った顔が映っただけで、恐くてたまらなくなり、テレビが置いてある部屋から逃げ出したという記憶がある。
最初の白黒版アニメシリーズ『ゲゲゲの鬼太郎』の頃は、恐くて視られないという事は無く、
いや、そんな事無いな、“うぶめ”の回、小泣き爺に飛来して襲いかかる“うぶめ”が恐くて、テレビから離れて遠くから眺めたりしたではないか。
鬼太郎が鯨のばけものになってしまう『大海獣』や、牛鬼になって退治されてしまう『牛鬼』の回などが特に記憶に残っている。
小学校の図工で版画を作る(彫る)授業では、水木しげる先生の妖怪画を参考に、細かい草むらを不器用な手で必死に彫ったりした。出来は散々だったけど楽しかった。
また同じく図工で、木の板を使いモビールを作る際には、西洋の妖怪ウストックの絵を用いた。同級生から「『鬼太郎』の死神だ!」と云われた。
中学生になった頃は、SFブームという風潮もあって、妖怪の話題は世間にあまりのぼらなかったけど、
まだまだ鬼太郎・妖怪が大好きは続いていて、『月刊OUT』の読者投稿漫画に、鬼太郎とねずみ男が対決するものを描いて送ったりした。没だった。
それから暫く経って、水木しげる先生の漫画作品を電子書籍配信したり、キャラクター配信する仕事に就く事が出来、
水木プロダクションさんには何度も通い、境港の水木しげる記念館にも行き、
水木しげる先生にも何度かお会い出来て(お見かけしただけの時を除けば、都合3回か4回程度だったと思う)
短い時間ながら、お話を聞く事も出来た。
水木しげる先生「あなた、お幾つ?」
私「42歳です」(当時)
水木しげる先生「私は85歳ですから、半分だ。まだ青年ですな」
ほか「あなたは……トルコ人に似てますな」とも仰られた。これは謎だけど宝物の様な言葉。
十万億土へ旅立たれた水木しげる先生。あちらでも、たくさん召し上がってください。
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