話がちょっと狂ってる

hanoyshang2006-04-10

市村正親「(虚空を見つめて)そうです! わたしが、ハンス!クリスチャン!アンデルセン!!」




ある日曜日、カーレンは、教会の礼拝へ行くのに、ぴかぴかに光った赤いエナメルの靴を履いて出掛けました。


カーレンは、この赤い靴が大層お気に入りだったからです。


ところが、そんなカーレンを見て、周りに人びとは口々に囁き合いました。


「まあ、何て子だろうねえ、教会へ行くってのに、あんな派手な靴を履いて来るなんて」


「神様にお祈りを捧げるのに相応しくない格好だ。きっとバチが当たるに違いないよ」


でも、そんな悪口も、カーレンはちっとも気にしません。


「私の靴が綺麗だから、この可愛い私にぴったりだから、みんなくやしがってるんだわ。


それに、神様だって、綺麗な格好していった方が喜ぶに決まってる」


ところが、教会の前に腰を下ろしていた乞食が、カーレンの姿を見、彼女を指差して云いました。


「何て子だ。そんなにその赤い靴が気に入ってるのなら、一生履いているがいい! そして、一生、踊り続けるがいいさ!」


その途端、カーレンの赤い靴がひとりでに踊り出したのです。


(中略)


精も魂も尽き果てたカーレンは、首切り役人の所へ行って頼みました。


「お願いです。おじさんの斧で、この赤い靴を、脚ごと切り落としてください」


流石に躊躇した首切り役人でしたが、カーレンがあまりに必死に頼むものですから、


狙いを定めて、赤い靴を履いた脚を、斧でドカッ、ドカッと切断してしまいました。


主を失ったカーレンの赤い靴は、それでも踊り続け、何処かへ行ってしまいました。


首切り役人は、カーレンのために、松葉杖を造ってやりました。


その後、教会へ赤い靴を履いて行ったことを心から懺悔し、教会の仕事に奉仕したカーレンは、神様からその罪を赦されたのです。


(赤い靴)



…………納得いかない。絶対に納得いかないこの話。