もしもこんな地球だったら…


今日もまた酸素不足警報が出た。これでもう一週間も続いている。


人々は陰気な顔で空を見上げ、酸素マスクを着けて町を歩いていた、


このところ、空気がどんどん薄くなっていき、人間や生物に必要な酸素が、足りなくなっていた。


世界中の工場が水を分解して酸素を作り、空気中にまき散らしているのだが、


それでも呼吸困難になる日が、段々と多くなっていた、


病院には酸素不足が元で病気になった人たちが溢れている。その人たちは酸素を求め、口を金魚の様に動かしていた。


人間だけでは無い。犬や牛も舌を出して喘ぎ、次々に倒れ出した……。



さらに時が流れ、地球が空気の衣を完全に失った時。


剥き出しの大地は絶間無い隕石の落下で傷付き、強烈な紫外線や放射線は、あらゆる生物を蝕んでいく。


世界は黒い死の影に閉ざされ、動くものの姿は、何ひとつ、消え失せていた。


(もしもの世界)