Alice in Mysteryland


金色の昼下がり


私たちは、揃って川をたゆたいながら昇っていった。


ふたつのオールを不器用に愛しく、幼い腕が漕いでいたものだから、


ぐらぐらと曲がり迷いがちなボートを、その幼い腕がどれほど真っすぐに進めようと思っても、


それはかなわなかった。



いじわるな乙女たち、それも三人の愛らしいゴルゴン。


こんな時間に、こんなに眠くなる空模様の元で、


どんなに小さな鳥の毛をそよがせることも出来ないほどの、


かぼそく吃る私の声が語るお話をせがむとは。


哀れなしもべたる私が、


三人かかっての無遠慮で厚かましく、それでいて可憐な幼い舌に


かなうはずも無く、


そして私は物語りを紡ぎ出す。


「おもしろくなきゃイヤよ」


次女のアリスが微笑みながら、うながす。




開幕♪


(Golden Afternoon)