アクシデント・スターター
少女キャロンの恐るべき死の予告は、5才の時から始まった。
祖父が夜遅くまで帰らなかった日、キャロンは自分で描いたクレヨン画を指して、
「ここで、おじいちゃんが死んでる」
と云うなり、急に泣き出したのだ。
その絵は、谷底に人間が横たわっていたが、翌日には祖父の死体が谷底から発見された。
そしてキャロンの家に増築工事にやって来た、たちの悪い大工に向かって、
「そんなこわい顔でママをおどかすなら、きっと死んじゃうわよ!」
とキャロンが云うと、それから1時間後に、大工は材木の下敷きになり、死んでしまった。
町へ買物に行った時も、キャロンの死の予告は当たった。
信号を無視して走り抜けた車を見て、キャロンは呟いた。
「あんな車は、燃えたほうがいいわ!」
その直後、車は急にグラッと右に旋回したかと思うと、炎を吹いて燃え出したのだ。
そして家に遊びに来たモートン夫人の8才の子、コリーを見た途端、キャロンは突然蒼褪めた顔で、
「コリーちゃん、死なないで! 手足がバラバラになって死ぬんだもの……」
と云ったのだ。
モートン夫人は怒ってコリーを連れて帰ってしまったが、その後すぐにコリーは行方不明となり、
翌日には、やはりバラバラ死体となって発見されたのである。
(怪奇ミステリー)