妖怪翁
水木プロダクションへ行って参りました。
今迄に十数回訪れているのですが、水木翁と直接お会いし、お話をしたことは殆どありません。
しかし今日は、たまたま水木翁がおられ、また御機嫌がよろしかったらしく、ふらりと応接の間に来られると、
いつの間にかソファに腰掛け、お話をされ始めました。
「殆どの人は不幸せで、幸せな状態というものが、そもそも特殊で異常なのです」
「100歳まで元気に生きられる人が増えてくると、世の中明るくなるでしょうなあ」
「パチンコは辛い日常を忘れるための、麻薬みたいなものですな」
などと様々な名言を発せられました。そして、
「あなたは今おいくつ? ……ああ、じゃあまだ赤ん坊みたいなもんだ」
「あなたの顔は、トルコ人に似てますな」
という言葉を私に残されると、お土産にと持参した饅頭の包みをお持ちになり、
奥へと立ち去って行かれたのです。
「饅頭は、大好物ですヨ」