蓼喰う虫が現れたと思っていただこう

本日7月17日は、市川雷蔵の命日です。


眠狂四郎シリーズ】や【陸軍中野学校シリーズ】など、心の内を決して見せない、ニヒルでクールな役柄で知られています。


盟友である勝新太郎の言葉によると、「映画スタジオに入って来る時の市川雷蔵は、地味なスーツに黒縁眼鏡(ド近眼だったとのこと)、


まるで銀行員の様だった」のですが、これがひとたび衣裳を着け、メイクをすると、妖しい雰囲気を漂わせた美剣士になってしまうのです。






陸軍中野学校】で、自分の婚約者が、英軍に通じるスパイになっていたことを知るや、全く躊躇すること無く、


ベッド上で毒殺してしまう非情な役柄は、数多い市川雷蔵の作品の中で最も印象的でした。


婚約者・小川真由実の黒い下着に隠された豊満な躰も、その巨乳を上下させて喘ぎながら眠る様に死んでいくさまも……。




眠狂四郎】において、顔に痣のある女と同衾することになった狂四郎。


戸惑う女の、「わたくしのような女でよろしいのですか?」の問いに、


「蓼喰う虫が現れたと思っていただこう」とクールに応えます。




普通に云ったら、相手にぶっ飛ばされる台詞ですが、


狂四郎=市川雷蔵だと、厭味にならず、格好良く聞こえるのは何ででしょうか。