タイドランドのアリス

ミッチ・カリンの長篇小説を、テリー・ギリアムが監督した【タイドランド】を観て来ました。


邦題が【ローズ・イン・タイドランド】に変更されていて、ギリアムが演出した【アリス・イン・ワンダーランド】の現代版、


という宣伝ばかりされていますが、この作品を【アリス】という先入観を持って観る姿勢は間違っていると思いました。


物語は、殆ど原作通り、ギリアムは本作では、【フィッシャーキング】程では無いにしろ、自分らしさをあまり出さず、


【タイドランド】の世界を再現することに専念しています。


(その分、配役が悪趣味で、醜悪に太らせたジェフ・ブリッジスとジェニファー・ティリーは、モンティパイソン一座の役者の様です)


     


……ジェニファー・ティリーは最近の出演作の役柄自体が、些かアレですが……。



映画チラシに何人かの有名人や聞いた事も無い人間が、頓珍漢な賞讃を寄せる中で、


【タイドランド】の本質を掴まえてるなあと思えたのが、海洋堂宮脇修一氏と、豊崎由美氏のおふたりだけでした。


宮脇修一氏「少年少女時代に模型や人形で一人遊びをした事のある大人なら、


      ギリアムが描き出す悪夢は不思議な魅力ある映像世界なのです」


豊崎由美氏「『きれいは汚い、汚いはきれい』。少女の奔放な想像力を通して見える反転のユートピアへようこそ」





観ている途中で、原作者が本作を著すにあたって影響を受けたに違い無いと思える映画が浮かんできました。



【THE REFLECTING SKIN】(反射する皮膚)。邦題は、【柔らかい殻】。


1990年製作(日本公開は1992年)のこの映画は、小説家・画家でもあるフィリップ・リドリーの第一回監督作。


子供の妄想的視点、舞台はアメリカの片田舎、黄金の草原、恐い童話的要素などで溢れる、強烈な悪夢映画です。


脇役のヴィゴ・モーテンセン人気でDVD化されているので、今度、視較べてみます。