グエムル ポン・ ジュノの怪物
【吠える犬は嚼まない】、【殺人の追憶】のポン・ ジュノによる、“怪物パニック映画”を観て来ました。
※話の核心に触れた箇所があるので、未見の方で、これから観ようという方は、以下、読まないでくださいな。
【殺人の追憶】は、女性連続暴行殺害事件を、捜査する刑事たちからの視点で描いていましたが、
その捜査方法は、自白強要、証拠捏造、刑事の勘だけに頼るといったもので、相当に無茶苦茶でした。
今回の【グエムル 漢江の怪物】は、終始、非体制側(反体制にあらず)から描いたものなので、
その理不尽さが、よりひしひしと感じられます。
両作品に共通しているのは、韓国の体制が如何に無茶苦茶で、酷いものかという点です。
そして、その愚図愚図な体制を後押ししているのが、在韓米軍ということも、描かれています。
怪物を生み出す原因を作ったのが在韓米軍、という描写から映画は始まりますが、
ポン・ ジュノは、その原因の張本人を韓国人として展開させます。
米軍が指図したとはいえ、直接手を下す、実行するのは、あくまで“我々 韓国人”なのです。
ハリウッド大作でも、その真似をした日本映画でも無いので、ヒーローは登場しません。
また、ハッピーエンドにも成り得ないのです。
怪物映画の定石を借りながら、崩壊している家族の絆、韓国内部の様々な問題、在韓米軍、環境破壊などをテーマに、
黒い笑いを散りばめた、正にポン・ ジュノならではの、傑作映画です。
【WXIII 機動警察パトレイバー】のパクリではないかとも云われていますが、話の展開、テーマなどが全く違います。
…怪物の造型は、確かに似てますが……。
観た後に、その作品に登場した食べ物が無性に喰いたくなる類の映画は名作であると思っているのですが、
【グエムル 漢江の怪物】を観た後は、カップラーメンと、韓国料理が食べたくなりました。
最寄りのスーパーで、キムチと豚足を買って帰りました。
“辛ラーメン”は売り切れでした。残念。
あ、あと、【グエムル 漢江の怪物】観たのが有楽町スバル座だったので、その後に
ビックカメラでDVD20枚セットを買ったら、“100人に1人無料キャンペーン”で、ロハになりました。