松井冬子・痛みが美に変わる時




NHKETV特集で、

【痛みが美に変わる時〜画家・松井冬子の世界〜】が放送されました。


↓番組紹介頁より↓

画家、松井冬子(34)。


彼女は、昨年女性で東京芸術大学史上初の日本画専攻の博士号を取得、


日本画壇のホープと目されている。


彼女の作品には、傷んだ皮膚や内臓、幽霊などが描かれ、


一見グロテスクな絵画とも見られる。


しかし、その作品が今、美術界内外で注目を集めている。


彼女は、死に対する現実感の希薄化、


喪失化が現代社会の大きな問題であると捉えている。


番組では、気鋭の画家・松井冬子の創作現場に初めて密着取材を敢行、


なぜ彼女は見るものに「痛み」を感じさせる作品を描くのか、


なぜ彼女の作品が「美」として強い訴求力を持ち、支持されるのか、


「痛みが美」へと変貌する秘密を探る。


また、松井の作品に強い関心を抱く社会学者の上野千鶴子


美術史家の山下裕二美術解剖学の布施英利との対論を通じて、


日本画の伝統を受け継ぎながら


現代美術として自己の内面を表現し続ける松井冬子の魅力と、


彼女が追及する「美」の本質に多角的に迫って行く。


出演:松井冬子(画家)

上野千鶴子東京大学大学院社会学部教授)

山下裕二明治学院大学文学部教授)

布施英利(東京芸術大学准教授)

語り:吉行和子(女優)


アカデミックな出演者だなあ。


松井冬子の絵を初めて知ったのは、


2006年4月に発刊された【夜想】の耽美特集号。


その後、NHK新日曜美術館】の


「穢い絵だが生きている〜大正画壇の鬼才・甲斐庄楠音〜」にゲスト出演され、


喋られるさまを拝見しました。


彼女の代表作【浄相の持続】は、


女が死に、その屍体が徐々に腐敗していく様を描いた


絵巻【九相詩絵巻】を元にしており、


ここから連想は、当然、【ドグラ・マグラ】に飛ぶ訳です。



肉体をテーマに描いている松井冬子ですが、


この次には、是非、脳の中をテーマにして戴きたいです。


情念と執念と、そして確かな技術でもって、


新作に挑む松井冬子の姿は、ほんとうにうつくしい。


上野千鶴子との対談の際、


今まで殆ど見た事の無い様な薄化粧だったのが印象的でした。