恐怖と怪奇の世界 吸血鬼百科



講談社のキワモノ本・ドラゴンブックスの一冊【吸血鬼百科】。


著者は佐藤有文氏、表紙と挿絵は、石原豪人画伯、挿絵は南条喬之。


欧米の吸血鬼映画のスチールも多数掲載され、


大幅に脚色されたキャプションで紹介されています。



“女吸血鬼”エリザベート・バートリーの章は……


(前略)

城主フェレンツは、その頃から戦争に出掛けてばかりいて、


城を留守にする様になった。


彼は、エリザベエトが恐ろしい悪魔の花嫁であることに気付くと、


もう二度と城へは帰らなかったのだ。


しかし、エリザベエトは毎日のように美しきかざりたてて、


ひたすらフェレンツを待ち続けていた。


「ああ…フェレンツは、なぜわたしから急に遠ざかったのだろう。


もっと美しくなれば、彼は城へもどってくるだろうか」


そこでエリザベエトは、侍女のイロナに相談すると、昔からの魔法に、


若い娘の血を使って美しくなる方法があるという。


「では、すぐに若い娘を集めよ」


エリザベエトの命令で、近くの村から若い娘たちが集められたが、


貧しい村びとたちは新しい着物を一枚やるといわれて、


よろこんで娘をさしだしたのだった。


ところが、エリザベエトは世にも恐ろしいことを考えていた。


彼女は、拷問道具として有名な「鉄の処女」をドイツの時計職人に特別に作らせていたのだ。


この「鉄の処女」は、人形のように美しく色を塗ってあり、


村娘が近寄ると、急に時計じかけの人形の腕がギリギリと動き出すようになっている。


しかも、この鉄製の人形の腕に抱き締められたら、絶対に逃れることは出来ないのだ。


そして人形の胸が、突然ぱっくりと開くと、


人形の中には無数の鋭い針がついていて、やがて村娘は、鉄の人形の中へ閉じ込められ、


全身をぶすぶすと針で刺されて血をしぼり取られるのだ。


こうしてエリザベエトは、村娘たちの生き血を、まるでシャワーのように全身で浴びると、


気が狂ったようにぶきみにケタケタと笑って喜ぶのだ。




写真上:惑星Xからやってきた脳髄だけの宇宙生物が、


次々と人間にとりついて人間を支配し、


人間の血や脳液を吸って増え始める。


写真下:吸血植物と宇宙人との間に生まれた吸血人が、宇宙船に乗ってやってくる。