科学画報 昭和五年十一月一日号










新橋駅前の古書市で購入した、【科学画報】。


改めて読んでいたところ、当時ならではの、全く抑制の効いていない内容の記事が載っていました。


〈恐るべき血族結婚 畸形 遺伝と小頭の新例〉(理学士 石井重美)


人類に現はれる遺伝性の畸形には、


白變(俗に白子と呼ばれるもの、皮膚に色素の沈澱がないため、全身無気味な白色を呈する)


斑性白變(前者の部分的に起こるもので、よく見かける頭髪の或る部分だけが、シラガになって居るのなども之に属する)


鱗癬(皮膚が魚の鱗のやうにカサカサに硬くなるもので、治療の困難な皮膚病である)


※「魚鱗癬(ぎょりんせん)」という名前で知られるこの難病は、近頃、小児慢性特定疾患治療研究事業に認定されました。

http://www16.ocn.ne.jp/~grs-kai/



無爪(爪の無い畸形)


無歯(歯の発生しない畸形)


兎唇(俗にいふ三ツ口で、極めて普通に見かける。胎児の局部的発育停止の為め、上唇の中央が縦列したまま生まれて来るもの)


無眼(眼瞼が一つの眼窩の中に一緒に入って居るもの。鮭や鱒の子供にも此の畸形は普通に見られる。

下等な動物、例えば「サイクロプス」といふ蝦の類の動物など二は、単眼が常態であるものがある)

畸形単眼の原語もサイクロピアとオフが、それは何れも、ギリシャ神話に出て来る一ツ眼人種サイクロプスに語源を有する)


多指(指の数が五本以上あるもの)


小頭(頭が著しく小さいもの。之には智能の発達不良が伴ふ)




裏表紙は、【子供の科学】(通称“コカ”)の広告です。