子連れ狼 冥府魔道

CS、BSで『子連れ狼』シリーズ(若山富三郎版/萬屋錦之介版)を放送してるので最近視ている。


若山富三郎主演、三隅研次監督『子連れ狼 冥府魔道』(1973年)はむかしテレビで途切れ途切れに視た記憶がかすかにある程度、


全部まとめて視るのは初めて。

(若山版『子連れ狼』シリーズはこの『冥府魔道』とラストの『地獄へ行くぞ、大五郎』の2本が未見だった)



視ていて吃驚。アレハンドロ・ホドロフスキー師の【エル・トポ】(1971年)にそっくりな場面が頻出するのだ。


子連れ狼・拝一刀は五百両で刺客業を請け負うのだが、


この映画では、五人の手練侍たちと対決し、ひとり倒すごとに、刺客依頼の内容が明らかになっていくという仕掛け。



その倒し方が、【エル・トポ】で4人のマスターを倒していく方法に似ていて、


侍のひとりが自ら火に包まれるという場面もある。



そして標的のひとりが大滝秀治演じる、悟りを開いた慈恵和尚。


「仏に逢うても仏を殺し、父母に逢うてもこれを殺す。然して無じゃ。ただ刺客道あるのみ」


この慈恵和尚は“主観と客観を同一にした”存在である為、拝一刀もどうしても斬る事が出来ない。


和尚は確かに眼の前に居るのに、その存在を認識出来なくなってしまうのだ。



で、どうやって仕留めるかと云うと、川を船に乗って渡って行く慈恵和尚の、船底をくり抜いて水中に落とし、


心を乱したところを襲うという寸法。


脚本も担当した原作者の小池一雄氏(当時の表記。現:小池一夫)がニューヨークで【エル・トポ】を観たのだろうと推測。


ホドロフスキー師の因子は、小池一夫宇宙にまで到達していたのだ。



しかし、若山富三郎“お兄ちゃん”は、完全なメタボ体型なのに、何であんなに素早く動けて、とんぼ返りも出来て、


眼を見張る見事な殺陣が出来るんだろう。全ては修練のたまものか。



子連れ狼 第1巻 愛蔵版 (キングシリーズ)

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