進撃の巨人は東宝怪獣映画になりそこねて、大映妖怪映画になった





※一部修正/加筆


前編なので最終的な評価では無いものの、


そして楽しみではあったものの予告編を視る限りではどうにも期待出来なかった本作、


矢張りというか杞憂が杞憂で終わらず、映画としての完成度はどうにもこうにもアララな感じでござった(この語尾オタクっぽくていいな)。





原作からの改変については別にどうでも良くて、


映画観てて不満に思った最大のものは、脚本と演出の未成熟さ、どうにも話が練られてないと思えてしまう点、細やかな演出が足りなかった点。


樋口真監督は「本多猪四郎を目指す、人物描写こそ俺にとって特撮だ!」と発言していたのに、


エキストラの人たちの演技が、動きも台詞も配置も唖然とする素人臭さで(冒頭、壁際でのエレンたちを咎める兵士たちの演技がホント酷い)


本多監督の、怪獣に脅えて逃げ惑い泣き叫ぶ群衆の演技指導、ホントにうまかったんだなあと改めて痛感。


柳下毅一郎氏が以前「樋口監督は特撮監督(特技監督)に徹して、ドラマ部分は他の監督に任せるのが、みんなが幸せになる方法」という意味の事を発言されてたけど、


2015年になっても、その通りになっちまったよ……。



描写や展開で気になった点は、以下、


冒頭、壁に向かうエレンがすぐ後ろに居るミカサに向かって「早く来いよ!」と促したり(来てるよ! お前のすぐ後ろに居るよ!)


立体起動装置の原理とか使い方の描写をせず、エレンが何度も何度も、延々ガキのケンカしてたり、


ピエール瀧とエレン、アルミンが再会する食料配給の場面で、後ろに居る団員たちがボヤーっと突っ立ってるだけだったり、


食料が限られている筈の状況で、司令官が地面に落ちたイモを踏みつぶしたり、


リヴァイならぬシキシマが最強かもしれないけど気持ち悪い悪役にしか見えなかったり、

(このキャラクターの本質・意味・価値に関しては後編を観て最終判断します。巨人の秘密に関わってると思うので。日本じゃ有名な博士の名前だし)


他の方のブログでも指摘されてたけど、ミカサ以外、♀は♀としてしか扱われてなかったり(ミカサもリヴァイと出来てて充分♀だけど)


武田梨奈水崎綾女に一切アクションをさせてなかったり、

(樋口監督は武田梨奈に「今回はいつもと違う役柄を演じて貰う」と云ったそうだけど、

それやるのは、あんたが散々アクション女優としての武田梨奈を使いこなして、実績を上げた後での話だよ!)


巨人の描写は怪獣と云うよりホラー、それも妖怪としての描写だし(特に巨大赤ん坊は怪獣じゃ無くて妖怪。だから大映妖怪映画)


エレンを誘って巨人に喰われる水崎綾女と、武田梨奈の相手の末路には「13日の金曜日か!」


まあノイズにしかならない描写が頻出で、何とかならなかったのかなあ…と。


巨神兵みたいな超大型巨人の描写や、ラスト近くのエレン巨人の戦いには確かに燃えたけど、


それ以外にもヌキどころを入れて欲しかったよ!


音楽の鷺巣詩郎も、いつもの様なワクワクドキドキする旋律が聴こえず、残念至極。




後編の予告が付いてたけど、悪役っぽいあのキャラクター、豊川悦司? 声がそう聴こえたんだけど、違うかな。


彼が諸悪の根源のマッド・サイエンティスト?


後編も観に行くよ! でも観るんだよ!!


追記)予告に出てたのは豊川悦司じゃ無く、草薙剛みたい。彼ならマッドサイエンティスト演じられるな。


進撃の巨人(17) (講談社コミックス)

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