猪苗代湖のイッシー

hanoyshang2006-01-14



1933年7月22日午後4時、ジョージ・スパイサー夫妻はスコットランド高地地方の旅行を終え、


ロンドンの自宅へ向かって車を走らせていた。


ネス湖の南岸ドーレスとフォイヤー村の中間程の地点に差し掛かった時、


スパイサー夫人は、山腹の羊歯の生い茂っている所から、突然なにかが動き出しているのに気が付いた。


夫人は叫び声をあげた。夫妻が怯えながら見守っていると、


ずっしりとした体つきの、長く曲がりくねった首の動物が、


羊歯の茂みから現れ、道を横切った。其れは黒っぽい灰色をしていた。


スパイサー氏は後日、


「それは長い首の巨大な蛇の様だった」と語った。


体長およそ7.5メートルから9メートルで、身体の割りには頭が小さく、山羊の様な動物を口にくわえていた。


夫妻が体を硬くしてじっと見ていると、水かの様な足でよろめきながら歩いていく。


スパイサー氏が車に急ブレーキをかけ、道路に飛び出しても。夫妻に注意を払う様子は全く無く、土手を越えて湖の方へ進んで行く。


そして、いつもは静かな湖の中に、激しい水しぶきを上げながら消えていった。


その信じがたい奇妙動物の痕跡は何も残っていなかった。


ただ夫妻は茫然として、お互いに見つめ合い、言葉も無く怯えていた。


(「ネス湖の怪物)




メイアス著『始めが終わりだった』は人類が進化したのは食人の所為だったと述べている。


其の根拠のひとつとして、曾て世界中の至る所で人が人を食べる習慣があったと彼は書いている。


メイアスの理論に因ると、この食人習慣は、我々の祖先が未だ類人猿だった時に始まったものであり、


当時は主として脳髄を食べたと云う。この脳髄を食べる風習は、現在でも場所に因っては、若干の首狩り族に見られる。


人間の脳髄を我々の祖先が第一に賞味したのは、其れがセックス活動を増進させたからだとメイアスは云っている。


それからかなり時代が下がって、脳髄を食べると頭が良くなり、しかも、こうして増進した知性は、


恒久性と遺伝性があるという事実が発見されるに至った。


その他いろいろな生物学的変化、特に体中に毛が無くなった事などは、何千年も前に、


人が人の脳下垂体を食べた為に化学的不均衡が生じた所為なのだと同氏は書いている。


(「人間はもっと怖い」)