飢餓食入門
『ノミのウンコ』
ノミとかシラミとか云っても実感がわかないだろう。
が、飢餓時代に入ると、嫌という程ノミ族と尽き会わされる事になる。
夜になると人の血を求めて畳の下から這い上がって来て、ポリポリカリカリと、
栄養失調人間の薄い血を盗んでいくのだ。
朝、眠い目をこすって起き上がり、布団をまくってシーツをながめると、あるわあるわ。
直径1ミリ足らずの茶褐色のウンコがびっしりと落ちている。
その上に犬這いになって、つばで濡らした指でヒョイヒョイと舐め取っていくのだ。
かすめ盗たれた自分の血の固まりを取り戻していく様な気持ちにならなければいけない。
ケチな心こそ飢餓時代の心だ。
どういう訳か、ノミのウンコには視力を増す効き目があると云う。
『グリーンジュース』
モンシロチョウ・アゲハの幼虫の料理だ。
水を一杯入れたコップにアオムシ(モンシロチョウの幼虫)を浮かべる。
約2分。
バタバタもがきながら体内の排泄物を綺麗に出してしまったら、
指でつまんで丁寧に水で洗う。
そして1匹ずつ口の上に運び、指でグシャグシャに押し潰し、
しごきながら落ちて来る雫を味わう。
最後の一滴まで無駄にしない。
終わったら青汁に濡れた指先に、塩をつけてペロペロと舐める。
週に一回これを飲むと、期末試験の勉強に追われて
「ああ、疲れた」なんて絶対に云わなくなる。
云わなくなるかもしれないけど……。