六百年生きていた蝶
1966年7月17日、セイロン南部のケビリッタにあるタウジヤ寺の地下から、
立派な青銅で作られた大きな箱が発見された。
「きっと、この中には名僧のミイラがはいっているのだ。」
坊さんたちは、その箱をはこびだし、あけてみたところ、中にはゾウの白骨体がはいっていた。
それは、お寺の文献にかかれているところによれば(原文ママ)六百年前、タウジヤ寺が作られたとき、
「聖体」として、うめられたものであった。
「この銀箱は?」
ゾウの鼻がもっていたと思われるところに、みかん箱くらいの銀で出来た箱があった、
「なんだろう?」
その銀箱をあけた坊さんたちは、おどろきに声も出なかった。
なんと、箱の中から黒と黄金色の二羽のチョウがとびだし、坊さん達の手にかみついたのだ(歯は? ねえ、歯は?)。
チョウはしばらくのあいだ、寺の中をとびまわっていたが、やがて、どこともなく姿を消してしまった。
六百年ものあいだ、どうしてこのチョウが生きていることができたのか? それはまったくのなぞだ。
おしまひ