インド魔術・妖術
白土三平『サスケ』にも登場した、インド古来より伝わるとされる【空中ロープ術】の魔術。
この魔術のやり方は色々あるが、通常良く行われるのは以下の様なものである。
まず時間は、夕暮れ時か夜で、近くに大木がある場所。魔術師はかがり火を焚いて、
長さ数10メートルのロープを空中に投げる。すると、ロープが空中にピンとと張って、最初に助手の少年がロープを登り出す。
続いて、魔術師がロープを登って行くと、暗い上空で少年の恐怖の叫び声がする。
その瞬間、少年の血まみれの片足や片腕が落ちてきて、次には少年の生首がドサリと落下。
そして、魔術師が血染めの短剣を持ってロープを降りて来ると、少年のバラバラ死体を集めて箱の中に入れるのだ。
さらに魔術師は、呪文を唱えて箱にエイッと気合いをかけるや、箱の中から少年が笑って飛び出す、というものだ。
このトリックは。まず大きな木や建物の間に強いロープを横に張っておき、空中に投げあげるロープの端の鈎を引っ掛けて、
空中にロープを直立させるのである。
少年は魔術師のマントの中に隠れて地上に降り、少年のバラバラ死体は猿の屍骸を用い、上空の横に張ったロープを見破られないために、
夕暮れ時や夜間に行われるのである。
(インド魔術の謎をさぐる)
この魔術の話は、中国の怪異譚『聊斎志異』にも記されているので、必ずしもインド独自の伝説では無いのだろう。