黄金のトランク
其の男は、ひとつのトランクを預けて行ったと云う。
だが其れが今、何処に在るのか、わからないのだ。
トランクは“こがねいろ”にぬらぬらと光っているものであり、
近くにあれば見落とす筈は無いという代物なのだが、見当たらないのだ。
其のトランクを視た記憶は確かにあり、こうして話している間にも
鈍いながらも周囲を威圧するかの様な輝きが蘇ってくる。
しかしこの時、なぜ手塚治虫の【黄金のトランク】を連想しなかったのだろう。
あの漫画は、どういった話だったろうか?
いや、連想出来る訳は無かった。
手塚治虫の【黄金のトランク】は、未読なのだ。
- 作者: 手塚治虫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1979/02/27
- メディア: コミック
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