エロチックな蟲
其の鹿は、寄生蟲に口の片側を喰い荒らされ、常に、ほくそ笑んでいる様な顔をしている。
妻「あなた… なにを見てらっしゃるの?」
夫「蛾だよ。……見てごらん、志帆子。美しいじゃないか。それに色っぽい。
この身をくねらせてあえぐようすをごらん!」
妻「やめてよ! 殺しちゃって! そんなもの」
夫「ばかをいえ。
白状するが、ぼくは蛾のこの尻尾を見るとね
セックスさえ感じるんだ…」
(手塚治虫「I.L.【蛾】」)
麗子「あ〜ッ! キスマークでしょう、それぇ!」
真由美「嘘うそ嘘」
喜美子「なに? ほんとに?」
香織「ちがいますよ、そんな」
麻紀「じゃ、それは一体何なの?」
香織「え …… これですか? …… 蚊、じゃ、ないかな」
麻紀「蚊ァ?」
香織「蚊 ……」
真由美「蚊ァ」
喜美子「蚊?」
麻紀「今何月だと思ってんの?」
香織「だから …… 春の蚊ですよ」
喜美子「春の蚊? いるの? そんなの」
香織「最近、蚊って一年中いるんですよ」