モルグ街の殺人
其のチンパンジーは凶暴な奴で、現地に於いて十七人もの女を強姦の末に殺害した。
十八人目が、僅か十秒程で終了した性交の後に絞め殺されようとしていた時、
たまたま近くで狩りをしていた白人のハンターが其れを目撃し、
放った二発の弾丸の内、一発がチンパンジーの後頭部から眉間を撃ち抜いた。
ハンターは自分の獲物の躯を調べたが、
連続強姦殺人の犯人として村の中心部へ運ばれたチンパンジーの屍骸は、寧ろ人びとの畏敬の対象となり、
其の頭蓋骨と陰茎は長の家に祀られた。
しかし陰茎は一週間もしない内にすっかり腐敗し、現地の人びとを更に三十人以上死に追いやるウィルスをばら撒いた。
人間に長い間 飼われたショウジョウは、自分が死ぬ 間際、親愛の情を込めて
其の人間をバラバラにして喰う。