北京填鴨のつくり方

hanoyshang2006-02-10

仁さん「これからアヒルたちにエサをやります。


ヒルたちは運動してませんから食欲ぜんぜんありませんです。そこで……。


ああしてムリヤリ エサをおしこむのですよ」


剛田「あっ! そうだ! おもいだしたぞ!


これと同じような光景をどっかでみたことがあると思っていたが、


戦争中、南京で便衣をとっつかまえた時、こーやって土の中へ埋めてぶったぎってやった!


あん時と同じじゃないか!


首を切られる時、あいつらも今のアヒルと同じような声をだしおったわい!


ワーハッハッハッハー」


達男「おじさん!!」




仁さん「九龍城というのは香港の暗黒街ともうしましょーか。


香港のシンジケートの根城で、賭博場、アヘン窟、売春窟と、ありとあらあゆる悪の巣でございます」


剛田「おもしろい! わしゃそんなとこへ行ってみたかったんじゃ!」


仁さん「とんでもないです。


九龍城では毎日、何人かが殺されたり、消されたりするといいます。


そこへ足をふみいれた旅行者で、そのまま行方不明になった人は数え切れませんです」




仁さん「ホーホッホッホッ、わかりましたか。


あなたを育てるのです。北京ダック式にね!」


達男「えーっ!!」


仁さん「わたしの道楽、めずらしいごちそう食べることです。


世界じゅうの珍味という珍味、食べあさりました。


残ったのは人間だけね。


だけどわたし、同じ中国人はいやね……なんとなくともぐいみたいでしょ。


白人、黒人、皮膚がきたないから食欲おきません。


そこで日本人……あなたに白羽の矢をたてたのです。


わたしじっくり待ちます。あなたの肉やわらかくおいしくなるまでね……」


達男「ゲーッ! き、きちがいっ!」


藤子不二雄A「北京填鴨式」)