ほんものの亡霊

hanoyshang2006-03-15

其れは、忘れもしません。昭和27年8月20日午前3時半ごろの事です。


其の前日、有人のA君と下北半島陸奥市へ遊びに行き、


其の夜は仲間の居る海辺の病院に一泊させて貰う事になりました。


夜が更けて、ひとつの部屋に案内され、ベッドに入りましたが、夜中にふと眼を覚ますと、


「大高先生、誰かが外に居るんです」というA君の声です。


「どなたですか。なにか、御用がおありですか」


私が声をかけると、足音が、はたと途絶えて、


「寒いんです………。とても、寒いんです……」


それはそれは、寂し気な声が聞こえてきました。


「それならどうぞ、中へお入りになりませんか」


その途端、ドアがキーと開くと、いきなり、本当に氷の様に冷たいものがベッドの中に入り込んできたのです。


「こらッ!」


私が夢中で叫んだ途端に、


目の前に、この亡霊 が現れたのでした。



※大高博士は現在青森市内に住むお医者さんです