逢魔が時

hanoyshang2006-03-27

風がやんでしまいました。


静かな、静かな、夕景色です。


どんよりとした、夕空は、刻々、暗さを増していきます。


緑の葉を繁らせたお化け銀杏の樹が、黒く見えています。


一日の終わりです。


昔はこの時刻を、「逢魔が時」と呼んで、恐れていました。


魔ものが、夜を待ちきれずに、現れる時間だというのです。


魔ものは、太陽の光が大きらいなのです。


「いつまでも外で遊んでいてはいけません」


やさしいお母さんが、子供を呼んでいる声が、聞こえてきます。


魔ものは、子供が大好きです。


みずみずしく、やわらかい肉が、とてもおいしいからです。


(『こわい怪談画報』)